内田支配の象徴、千代田特例の廃止を

 今回の都知事選挙の隠れたテーマは、ドン支配からの脱却だったと思う。だが、「東京都庁自民党都連の幹事長である内田都議というドンによって支配されている」と聞いても都議会や都庁周辺の人以外はピンと来ないだろう。

 小池氏サイドとしては、「オリンピック予算の見える化」や「都庁の見える化」も大切だが、何よりも「都庁を支配するドン=敵の見える化」が不可欠である。そのために、避けて通るべきでないのが「千代田区特例の廃止」だ。

 公職選挙法は、都道府県の議員の各選挙区の定数について、基本的に人口と比例関係にあることを目指しており、一つの自治体が定数を割り当てるには人口が少なすぎる場合は隣接自治体と合同の選挙区にするよう求めている。
 例えば、東京都では多摩地域や島しょ地域などは複数の自治体がまとまって、一つの選挙区になっている。

ところが、千代田区だけが定数1を持つには圧倒的に人口が少ないにも関わらず、「千代田特例」として定数1を確保しているのだ。それが如何にアンフェアであるかは、23区内最大人口90万人を誇る世田谷区の定数が8であるのに対し、5万そこそこしかない千代田区が港区や中央区と一緒になることなく定数1が割り振られていると言えば、誰にでも分かるはずだ。

 野党は長年、千代田特例の廃止を主張し、他の区と合同にして定数を割り振るよう主張してきたが、自民党公明党に阻まれて実現できなかった。

なぜか? 自民党のドンこと内田氏が千代田区選出だからだ。

 人口に比例した公平な議員定数の配分は、民主主義を重んじるならば与野党問わず求めるはずである。ところが、千代田区だけが合区を免れ、のうのうと定数を確保しているのである。

 幸い、来年2017年には都議会議員選挙がある。野党に動いてもらっても良いが、できれば知事サイドからの提案が良い。世間の目が都政に向いている間に、この喧嘩を小池氏サイドから内田氏に対して仕掛けるのはいかがだろう。

 都知事はいつも世間の注目の的だが、いち都議会議員である内田氏が世間の注目を浴びる事は少ない。その注目の少なさを利用して、彼とその周辺の人間達は都政が牛耳ってきたのである。
 攻撃は敵の中枢を叩くのが鉄則だ。小池氏には是非、「千代田特区の廃止」を前面に掲げて戦ってほしい。世間の注目を集める事に成功すれば、都議会の多数派を牛耳る自民・公明による知事提案の棄却は大きな逆風を呼ぶだろう。逆風に恐れをなし知事提案が通れば、内田氏は確実に選挙に落選する。

 内田支配を快く思わない自民党議員は少なからずいる。公明党だって自民党の御家事情で自分達まで割を食う事を良しとはしないだろう。

 知事提案がきっかけで「いじめっ子」内田に歯向かう者が出る可能性は低くない。

 

 島しょを除き、最も少ない都民からしか支持されていない者が都政を牛耳るという醜い構造を何としてでも変えてほしい。都政の浄化を望む者として、大きな期待を寄せている。

みんな本当は自民党なんて大嫌いなんだ

 日本人のほとんどは自民党の事が大嫌いなんだと思う。でも、実際に圧倒的な国会議員がいるじゃないかって?

 確かにそうだ。

 でもね、自民党に票を入れる人は、共産党公明党民進党に票を入れる人とは全然違う。共産党公明党に入れる人は、その政党が大好きなんです。だから、他の人にも「今度の選挙は○○党に入れてくださいね」なんて平気で言える。民進党に入れる人は、そこまで大好きって訳じゃないけど、まぁ民進党が世の中を多少は良くしてくれる、少なくとも自分の得にはなってくれると信じている。官公労の人とかね。

 だけど自民党に入れる人はそうじゃない。例えば、自分は中道だと思っている人。ひょっとしたら日本で一番沢山いるはずだけど、今、政治的に中道って言われている政党は公明党しかない。そうすると、自分は中道だけど、宗教政党はや好きじゃないと思う人は自民党しか入れるところがないんです。ちょっと前なら民進党に入れていたような人も、彼らが左翼政党丸出しになってしまったから、今は自民党という選択肢しかない。

 

 あるいは、もっと規制を減らして自由な社会を造ろうと思っている人。ちょっと前なら「みんなの党」に入れていたような人。でも「みんなの党」はなくなってしまった。あえて言うなら「おおさか維新」でしょうけど、やっぱり大阪人以外だと、あの党にアレルギーを感じる人は多いと思う。

 

 あるいは、もっと国益をちゃんと主張して欲しいと思っている人。「日本のこころを大切にする党」はあるけど、小さすぎて政権に入れないのだから、現実には中々国益を追求できない。思いは「こころ」と一緒でも、そこには入れない人、自分の選挙区に候補者がいない人など一杯いると思う。

 

 で、そんな人達の苦渋の選択が自民党なのです。

 

 そりゃ確かに昔はいましたよ。選挙と言えば自民党に入れるものだと脊髄反射するような人。でも、そんな人はもうとっくに鬼籍に入っています。

 

 小泉元総理は「自民党をぶっ潰す」と言って選挙に圧勝しました。このたび参議院選挙に当選された青山繁晴氏も「本当は自民党が一番きらい」と言って選挙戦を戦いました。小池氏だって、みんなが嫌いな自民党にいじめられているという構図を造れたから都知事選を圧勝したのでしょう。

 

 でも、嫌われながらも「やっぱり自民党がマシ」という安心感があったのも事実です。

 ところがどうでしょう。このたびの都議会自民党のどこまでも醜い姿は。

 石原会長は「党本部マター」と言って入院中の谷垣幹事長に責任を押し付ける。その父親は相変わらずの暴言を吐く。ドンと称される内田幹事長は表に出てこない。新知事には挨拶もできない(もう二度と東京都内で自民党は道徳を語るなよ)。

 

 有権者はダメな政治家をいつでも見捨てます。有権者は「自民党の代わりになるかも」と思えば、いつでも他の政党に票を入れます。
 どうか、多くの国民に嫌われている事を忘れず、これ以上の醜態をさらすことのないよう、心からお願い申し上げます。