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擬似科学との戦いは慎重に

 大阪維新の会叩きが相変わらず激しい。

 こと教育問題については、教育行政条例や学校条例の成立で教育問題には一応の決着をみた。後はこれをベースにどれだけの成果を挙げることができるかだと思っていたが、今度は大阪市議団が提出する予定の「家庭教育支援条例案」がテーマなようだ。

 メディアやネットの議論が両極端で低次元なのは毎度のことだが、今回はネット内でも維新の会の分が悪そうだ。

 とりわけ「疑似科学」の汚名を着せられて批判の槍玉になっているのが次の条文である。
「(伝統的子育ての推進) 第18条 わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する」


 発達障害に関しては、遺伝的要因と環境的要因がどのように関わっているのか判然としていない。
 以下の文章は、近年発表された医学論文の抄録だが、極めて中立的であり発達障害の現状を端的に示している。

発達障害は,遺伝要因と環境要因が相互にかかわりあい発現する多因子疾患ととらえられている。近年は発達障害の発現に負の養育環境とのかかわりが注目されている。負の養育環境要因には,母親の妊娠中の飲酒/喫煙,妊娠/出産後のうつ,不適切なしつけと虐待行動,家族機能不全などがある」

 発達障害が多因子疾患であるとすれば、健全な子育てが予防・防止になにがしら寄与するの当然であり、条例案18条を擬似科学と批判するのは明らかに誤りだ。


 しかし、間違った人権意識に汚染されているメディアや不勉強なネット市民、そして何よりも発達障害児の親の中には「発達障害は遺伝的要因だけが関与する」という疑似科学を信じる人が大勢いる。しかも、彼らはタチの悪いことに自分達こそ科学的で「発達障害に環境要因が関与する」という考え方を疑似科学だと信じている。


 デモクラシー国家において、無知の暴走が世論になった時ほど恐ろしいものはない。

 維新の会大阪市議団の方々は、くれぐれもその点を自覚した上で、(決して間違っているわけではないのだが)彼らから疑似科学のレッテルを貼られないよう細心の注意を払って文言の微修正に励んでいただければと思う。


 ちなみに18条の森口修正案は以下のとおりです。

「「(伝統的子育ての推進) 第18条 妊娠中の健全な生活やわが国の伝統的子育てによって、発達障害は予防、防止又は症状の軽減ができる可能性があり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する」