2007-01-01から1年間の記事一覧

噛む犬に共感する必要などない

教育問題に限らず、どんな議論でも二項対立構造でしか理解できない人がいます。しかも大抵の場合、「悪VS正義」の対立です。 国民の側(正義)VS権力の側(悪) 真実に目覚めた良識派(正義)VS陰謀を働く左翼(悪) 子どもの目線に立った教育(正義)…

「那覇市いじめ防止プロジェクト」から日本の学校が変る

久しぶりに感動した。「那覇市いじめ防止プロジェクト」のことである。これは、那覇市PTA連合会の会長である徳留博臣氏が2年の構想の末に11月17日に本プロジェクトを立ち上げたものだ。 このプロジェクトのどこが素晴らしいかといえば、何よりも「い…

学校が「波動ビジネス」に加担する罪深さについて

Britty様から「波動ビジネス」にハマる人は今でも多いのか、というご質問のコメントがありました。ハイ、多いです。大阪大学の菊池誠先生が、「波動ビジネス」批判の大御所ですが、残念ながら多勢に無勢です。私も菊池氏とは立場は異なりますが、「水からの…

亀田親子傷害事件の嬉しい誤算

前回は、亀田親子による傷害未遂事件と書きましたが、その後の内藤選手の証言によりこれが既遂であることが判明しました。早期に回復されることを祈念します。さて、それとこの親子に対し当初不問に付すつもりだったボクシング協会が、世論に押されて厳罰へ…

亀田親子の傷害未遂を見逃してよいのか

バラエティなど低俗なテレビ番組に対して「教育に悪いから放送するな」と圧力をかける人たちがいますが、私はそのような運動が趣味ではありません。 ※ むしろ国民を「おバカ」にしているのは、バラエティ番組ではなく、夜のニュースショーではないかと思って…

福田政権でバウチャー制度は当分なくなった

前政権が検討していた「教育バウチャー制度」をあっさりと「いらないと思う」と切り捨てるような文部科学大臣には早く退場願いたい。もちろんバウチャー制度に対する賛否はそれぞれの意見があると思う。問題は、この新大臣が「教育に競争はなじまない」とい…

「右傾化時代の終焉」で「ゆとり教育」再登場か

安倍総理の無様な辞任劇と、福田自民党総裁(そして多分福田総理)の誕生により10年間以上にわたった「右傾化の時代」は終焉するでしょう。 もちろん、安倍総理の辞任が、それを象徴する出来事であることは間違いありませんが、 「右傾化時代の終焉」を感…

スクールカーストは他人事ではない その5

どのような事情があったのか(建前は病気の深刻化ということですが)知りませんが、総理大臣が最も重要な政治局面でその職を投げ出してしまいました。最も多忙で最も高貴な一族に嫁いだ高学歴女性も、訳のわからぬ病名を理由にして遊び呆けています。そのよ…

安部総理辞任でどうなる教育再生会議(おまけで、どうなる次の総理)

私=森口は、教育再生会議の最大の目的は、教育基本法改正問題から国民の目をそらすことにあったと思っています。 安倍政権を右翼政権だとは思いませんが、総理の支持勢力には相当右の人がいたことは事実でしょう。 そして、右翼も左翼も、互いに「国民はバ…

和田秀樹氏がスクールカーストに言及しました

精神科医の和田秀樹氏が、9月10日に発売される中公新書ラクレ 『「か弱き、純真な子ども」という神話』の中で、 5ページも裂いて、「スクールカースト」に言及しています。この本を執筆中、和田氏は拙書『いじめの構造』を読んでくれ、 現代のいじめ解読…

スクールカーストは他人事ではない その4

「スクールカースト」をネット界隈の特殊な用語からリアル社会の定着した用語にすることは、今現在の私の大きな目標です。それは、この言葉がいじめや不登校といった学校病理を読み解くためのキーワードになると確信しているからです。本ブログの「スクール…

スクールカーストは他人事ではない その3

様々なブログなどで言われているように、スクールカーストを決定づけるのに最重要な要素は「コミュニケーション能力」です。「いじめの構造」(新潮新書)において、私はコミュニケーション能力を「自己主張力」「(対人)共感力」「(ノリへの)同調力」に…

スクールカーストは他人事ではない その2

コミケ会場付近の公園で直接お会いしたシロクマ氏は、私に次のような疑問を投げかけました。「ボクの世代からすると、(森口の時代に)学力が高いことがクラス内の地位を上昇させたことの方が不思議ですね。だって、ある人の学力が高いからって、クラスに何…

スクールカーストは他人事ではない

8月19日(日)、行ってきました!コミックマーケット72.47歳にしてコミケに行くことになろうとは、1ヶ月までは思いもよりませんでした。コミケに行った目的は、1 イケメンアルファブロガーの Masao hate氏 にアエラ絡みの件でお礼を言うこと。2 …

疑似科学についての考察 その5

今回は、なぜ人は疑似科学に魅せられるのかについて述べます。結論から述べれば、「心の安寧を科学に求めるから」です。現代人が、このような心性に至ったターニングポイントは3つあります。以下説明しましょう。まず、第1はデカルト哲学の登場です。デカ…

疑似科学についての考察 その4

TOSS問題から考察した疑似科学ですが、妙に気合が入ってしまいました。自分の中でクールダウンさせるために、独断と偏見に基づいた「日本社会に悪影響をもたらした疑似科学ランキング」を造ります(最近、書いてる中身が難しすぎるというご意見もあるこ…

疑似科学についての考察 その3

カール・ポパーは科学と疑似科学の境界は「反証可能性」にあると考えました。つまり、科学というのはどこまでいっても仮説に過ぎない。どの説も新たな実験結果や観察結果によって過去のものとなる可能性を秘めています。だからこそ、長い間反証されなかった…

疑似科学についての考察 その2

K@KK様から、また素晴らしいご指摘をいただきました。「真に警戒しているのはTOSSではなく、『もっとヤバい人たち』です。」ということで、一部のスクールカウンセラーこそ、疑似科学を学校に持ち込む危険性の最も高い人たちであるという認識を示してい…

疑似科学についての考察

内容的には昨日の続きです。 疑似科学問題でTOSSを槍玉に挙げるのは私の本意ではないので、題名を変更しました。「水は何でも知っている」が小学校道徳で使われたことと、TV番組でのデータ捏造が明らかになったことで 心ある人々の間で「疑似科学」へ…

私がTOSSを批判しない理由

昨日の後藤和智氏の「個人的」感想、「TOSSを持ち上げるのは減点だろう」という内容について、K@KK様からとても適切かつ深遠なご指摘をいただきました。 K@KK 『はじめまして。 私も『いじめの構造』を拝読し、明快さに感銘を受けつつ後藤氏と同じ点…

「授業技術の継承」の限界

先日紹介した後藤和智氏は、書評の最後で「個人的見解」としながら、藤原氏とTOSSを持ち上げていることを減点だという見解を披露されています。思うに、この批判は2つの大きな問題を示しています。一つ目は、藤原氏が「国家の品格」で新渡戸武士道を絶…

青梅市議 小鮒将人氏にエールを

先日のブログで昭島市の「いじめという名の校内犯罪問題」について書きました。校長や教諭が校内犯罪をきちんと警察と連絡をとりあい、最終的には加害者少年5人を逮捕した件です。これについて精力的に動いてくださったのは、民主党青梅市議の小鮒将人氏で…

後藤和智氏の書評

私は、本を書くときは特定の読者群を想定する。例えば「授業の復権」は、現役教員と教育学部の学生だった。現在、「授業の復権」は、いくつかの大学の教員養成授業で使われており、この目論見は見事に成功したことになる。この点「いじめの構造」は、極めて…

人皆我師

私はとっても不遜な人間なので、常に「人皆我師」ということを心がけています。 世の中には色々な人がいます。 優秀な人間もそうでない人間も。もし優秀な人からしか学べないとなると、世の中で一番優秀な人間は、誰からも学べなくなってしまいます。教育言…

和田秀樹氏の書評

私は、現役の物書きの中で最も有能かつ勇気のある人物は「和田秀樹氏」だと思っている。 ※ 彼が有能であることは万人の認めるところであろう。 しかし、私は彼の勇気に、より多大な敬意を抱いている。 氏の政治界・警察・パチンコ屋の癒着を巡る批判は、 「…

ある市議からのメール

ある都内自治体の市議の方から次にようなメールをいただきました。 「はじめまして。私は、○○市議の○○と申します。 また、「いじめから子供を守ろうネットワーク」の会員でもあります。 ちょうど、ご著書『教師は生まれ変わる』を拝読させていただいていると…

いじめ逮捕に至らせた教諭と校長・学校エールを

東京昭島市の中学生5人が校内で同級生に暴行・障害を行ったとして逮捕されました。 本事件の画期的なところは、逮捕に至った経緯が男性教諭(37)がクラスの雰囲気がおかしいと察知し、「何があったか書いてほしい」と紙を配り、11人の生徒が事件を証言…

こんなメールをいただきました

私の本を読んでくださった方からこんなメールをいただきました。 以下、ご本人の了解を得て掲載します。 「いじめの構造」を拝読し、たいへん深い感銘を受けました。 私自身、小学校・中学校時代はかなりスクール・カーストが低かったらしく (笑)、つらい…

自分の実力と組織の力

勤め人をしていると組織の力を自分の実力と思ってしまいがちです。そして退職したあとで、その勘違いに愕然とする。そんな人を何人も知っています(皆さんに回りにも大勢いるでしょう)。 本を書くと、そういう宿命から逃れられた錯覚に陥ります。「組織の中…

病室のまどろみの中の蝉時雨

「一病息災」というのでしょうか。 私は幼い頃に腎臓の病で100日程度入院し、それ以降、無理をするとすぐに体がむくみます。そんな体と47年間付き合ってきたおかげで、すっかり「サボり上手」になり、お陰でそれ以降40数年間、 大きな病気とは無縁の…