『日教組』内容紹介もかねて

かなり詳しい紹介ですが、ネタバレを気にするほどでもないので、内容紹介もかねてshinzeiさんのブログを紹介します。

「みなさんこんにちはshinzeiです。ある大企業の重役さん(この人は人事課出身だそうです)が仰っていた事で、

 「どうせ日本の学校なんか小学校中学校の義務教育期間、そして高校大学でもやっていることは企業では全く役には立たないよ。だからその学校で身につけた無駄な事を企業じゃわざわざ金を出して再教育し直さなきゃいけないんだ。まあ、語学関係は別だけど」

 と言う言葉がありました。確かに今の学校は?幼稚園化?しているという指摘もあります。この重役さんに言わせれば、日本の教育なんて現在の日本の企業活動とはそっぽを向いた事をしているということになるでしょう。ですから企業はわざわざ(ましてや今は不景気にもかかわらず)資金を出して新入社員の企業教育をしているのです。さらに挙句の果ては、日本人の人材など役には立たないと言う事で中国人など、外国人の人材を求める企業まで現れました。

 今の日本の教育の?堕落?は、外国に勉強しに行こうと言う覇気のある若者を減少させ、ゆとり教育と言うぬるま湯にどっぷり浸かった日本の学生の学力は最早他の国に抜かされていて将来的には日本の国際的地位の劣化を予想させる結果になりました。

 その真犯人は?と言われれば、右翼の方は迷わず日教組と言うでしょう。確かに日教組共産主義と言う?間違った?思想に毒されていて学生にそれを感染させる事で日本人の知的堕落の原因を作ったと批判されています。ですが、日教組と言う組織をどの程度の人びとが知っているのでしょうか?私が見るに、日教組を悪く言う人のレベルは所謂床屋政談レベル、つまり今風に言えばネット右翼レベルです。なぜ日本は知的に堕落したのかを知るにはこの日教組をはじめそれを取り巻く教育委員会、そして教育の監督官庁文科省にまでメスを入れなければならないでしょう。そこで今日紹介したい本は、

 『日教組』 森口朗 新潮新書397 2010

 です。まず、日教組の沿革から話しますと、日教組は実は文部省(今の文科省)がその結成を奨励したという、意外な事実があります。今でこそ日本をダメにした組織としての日教組が糾弾されていますが、実は日教組の行動パターンを最初に作ったのは誰であろう文部省でした。文部省は戦後間もなく、日本人を悪しざまにののしる(例えば日本人は遅れている。など)報告書を作り、そのための、つまり日本の再生のための方策として教師の組合を作る事を奨励しました。これが日教組の始まりです。

 日教組は最初でこそ教員の労働環境や、社会保障の充実など、教師の地位向上に尽くしましたが、やがて共産主義に染まった組合員が力を持ち、今批判される日教組に変貌します。(しかし後に共産党系の組合員は日教組から離れ、「全教」を結成しました)

 日教組についてよく言われる事ですが、例えば体罰を禁止したから馬鹿な生徒が増えたのだ。という批判は当たらず、実際には明治時代から体罰は禁止されていました。また、先ほども述べたように愛国心教育を排し、日本を遅れた国だと断じたのは日教組ではなく文部省自身がやったことです。

 しかも日教組の組合員数は今では全教師の20%に過ぎず、組織は弱体化しています。しかし、彼らの基本的な思想を見れば、今進行している日教組民主党政権の癒着は大問題でしょう。

 では、何故日教組共産主義思想と言う思想を持ち、日本の教育をダメにしたと言われるようになったのでしょうか?それを知るには、戦前以前の教育が答えを出してくれそうです。

 戦前は理想的な教育が行われていた。とか海軍兵学校陸軍士官学校、そして旧制高校では究極の人間教育がおこなわれていたとし、それを復活させようとしたり、そのバックボーンになった教育勅語の復活を主張なさる人もいらっしゃいますが、実際にはその頃の教師はおよそ知的さとは無縁で、特に戦前戦中には生徒を軍隊に送り込んだり、挙句の果ては当時の国策であった満州への移住を強要したりしていました。つまり当時の教師は軍部政府のお先棒を担いでいたのです。

 それでアジア・太平洋戦争の敗北後。教師は良く言えば戦前に自分の犯した罪を清算するために、悪く言えば覆い隠すために、?新しい?思想であった民主主義や共産主義に走る教師が出ました。それが日教組を作ったのですから当然批判の多い学校現場への保護者の介入や無味乾燥な平和教育などをするのはあたりまえでしょう。

 その影響は著者によれば戦後第一世代が青年期を迎えた1960年代に現れたと言います。警察庁の統計によると、向こう70年間で一番殺人強盗など凶悪犯罪を犯した少年が多かったのは彼らが青年時代を迎えた1960年代だったそうで、例えば殺人は2000年代の3倍だったそうで、強姦に至っては25倍になっています。

 また、日教組には偏向教育が付いて回っています。例えば部落差別や在日コリアンへの差別、そして日本軍国主義やナチズムへの批判は?嬉々として?教えますが、逆に北朝鮮や中国で起こった人権蹂躙や少数民族差別、中国の軍備拡張や旧ソ連の蛮行(千島などへの侵略)は教えません。これでは教師は日本人なのか、それらの国の人間なのか分かりません。

 著者によると、彼らの行動原理は、まさに共産主義に則っていると言います。例えば彼らが日本の国旗国歌を糾弾するのは、表向きにはそれらが侵略の象徴だとしていますが実際には共産主義の思想の中の一つにある?国家への革命的抵抗?があるといいます。また、日本を明らかに貶める教育も、生徒の間に革命的気運を盛り上げると言うことを教師は無意識的に行っていると言えます。

 結果論として、彼ら日教組の活動は、皮肉にも教育委員会文科省の助けを借りる形で比例的に日本人の知的水準を下げる働きをしてしまっています。日教組の教育方針が明らかに間違っている事は、上記で述べた戦後第一期世代、つまり日教組教育のやり始めのときに教育を受けた年齢層の犯罪率を見れば一目瞭然です。この組織に再び国家の基幹である教育に介入させてはいけないと思いました。」