福島で「土下座しろ!」と叫ぶ

東電の社長が福島県浪江町住人の避難所に赴き、そこである男性からの「土下座しろ」という言葉を受けて土下座したらしい。

避難者の方々が、社長が土下座して心の平穏が保たれるのであれば、まぁ5000千万円以上もらっていたであろう報酬の一部として、土下座するのもありだろう。
ただ、東北沖大地震という天災後に起きた人災によって、誰が誰に土下座して謝るべきかは一考の余地がある。

日本は、良くも悪しくも「曖昧」であり、この人が悪いというイメージを持たれた人が、この人が被害者というイメージの人に謝ることを良しとする。
でも、そうか?

今回の人災の加害者とは誰だろう?
イメージ的には東電保安院民主党だ。
では被害者は?
イメージ的には原発付近の住民だ。

だから、「被害者」である住民は「加害者」である東電に「土下座しろ」と大声で叫ぶことができる。

そうかなぁ?

少なくとも原発付近の住人は原発の存在によって、これまで直接間接の利益を受けてきた。村の税収のほとんどが原発関連という自治体だってある。
今は原発非難の先頭にいる元県知事だって、原発を推進した一人だ。
リスク説明が嘘っぱちだったという非難は正しいと思うが、薄々危険だって感じてたんでしょう、という気もしないではない。

これに対して、ピュアな被害者は、福島県以外の農業・漁業を営まれている人を筆頭に、輸出産業や観光産業など国際的な風評被害を受けている人達ではないだろうか。

しかし、彼らは決して東電に土下座しろとは言わないし、原発付近の住民に「あなたたちがお金に目がくらんで原発なんか受け容れるから、隣接県の私たちまで風評被害を受けるのです。謝ってください」とも言わない。それどころか、苦しい家計の中から(たぶん)義捐金まで出している。

もちろん、私は原発を受け容れた自治体住人を加害者と責めるつもりなど毛頭ない。
ただ、「土下座しろ!」と叫ぶ人は土下座したら許すのだろうか?それで許すなら、企業経営者でなくてもサラリーマンなら土下座する人は大勢いるだろう。
感情は理解できるが、感情的な振る舞いは合理的な思考・方策の邪魔になると言いたいだけである。

震災に限らず大事件の後には火事場泥棒が登場する。
そして、火事場泥棒は必ずといってよいほど「被害者」か「被害者支援」の顔をしているのだ(第二次世界大戦後、在日朝鮮人が被害者面をして駅前一等地を不法占拠したことはつとに有名である。それらの多くが今パチンコ屋になっている)。
火事場泥棒を少しでも減らすためには、今こそ冷静でい続けることが大切である。

今のところの火事場泥棒の筆頭は、震災復興の名の下に増税を目論む、民主党財務省であろう。