拙書『いじめの構造』(新潮新書)で論じましたが、校内で暴行や恐喝といった犯罪が起きた場合は、加害者を強制転校(義務教育)か退学(高校)させ、同時に学校から警察への告発を義務付けるべきだと思っています(今回の大津市の事例では警察ごと腐っていて被害届さえ受理しなかったようですが)。
そこで必要になるのが、被害者サイドの証拠固めです。
現在は、小型のICレコーダやカメラなど証拠を固めるツールが発達しているので、被害者が証拠を収集することは比較的容易なはずです。
現在は、いじめが起きた際のパターンを簡略化すると
(成功パターン)
被害者から教師への相談 → 教師の対応 → 解決
(失敗パターン1)
被害者から教師への相談 → 教師の対応 → 事態の悪化
(失敗パターン2)
被害者から教師への相談 → 教師が無視 → 事態の継続
ですが、暴力や恐喝が絡む場合はむしろ
被害者から教師への相談 → 教師による証拠固め指導 → 被害者による証拠固め
までの指導を類型化しておく必要があると思います。
そうすれば、
(その後のパターン1)
証拠収集の成功 → 教師への再相談 → 学校判断による加害者の強制転向又は退学
(その後のパターン2)
証拠収集の成功 → 教師への再相談 → 教師が無視 → 教師の懲戒処分
(その後のパターン3)
証拠収集の成功 → 教師への再相談 → 学校側の甘い処分 → 警察やマスコミへの告発
等々、次への展開が望めます。
被害者だって、「みんな仲良く」「いじめをなくそう」「人権を大切にしよう」なんて綺麗ごとの指導をされるより、先生から
「判った。ただし今の状態だと君を助けることはできない。先生たちが動けるようにしっかりと物的証拠を押さえてくれ」と言われた方が、学校に行く勇気が沸くんじゃないでしょうか。
ただし、現在の学校文化ではこのような指導は絶対に無理です。
「これは『いじめ』ではなく犯罪だから、犯罪の証拠を押さえてほしい。そうしたら必ず加害者を退学(強制転向)させるから」
なんて教師が言ったら「教育者なのに酷い」と袋叩きに合ってしまいます。
それを変えるためには、各自治体が『いじめ防止条例』といったものを制定して、「教師による校内犯罪の告発義務」や「学校が校内犯罪を隠蔽した時の懲戒基準」「証拠固め指導の正当性」「強制転校や出席停止の準則」などを定めるのが良いと思うのですが、いかがでしょうか。
警察と共同して校内犯罪を撲滅するためには、これは市町村条例よりも都道府県条例の方が適切だと思っています。