私も「万能ないじめ対策なんてないと思う」

2009年にこのブログで書いた「この『いじめ対策』はすごい」という記事は、マスコミでいじめ犯罪が大きく報じられるたびに様々な人に紹介されます。

現在は、ツイッターというツールがあるので今まで以上に拡散が激しいようで、ここ数日いろんな方々が、ご自身のブログでこの対策についての感想を書いたり、私のブログに意見を書き込んだり、メールをくれたりします。


その中で気になったものにdoramaoさんが書いた「万能ないじめ対策なんてないと思う」という記事がありました。

主な内容は、元記事で紹介した「いじめ対策」の危うさを指摘している記事でしたが、それについては元記事を書いた時から、「泣くまで」はやりすぎだろう、とか「学校は警察じゃない。冤罪を造るリスクはどうなる」という指摘はあったので、取立て珍しいことはないのですが、タイトルの「万能ないじめ対策なんてないと思う」という主張には、私も100パーセント賛成しました。


元記事を紹介したのは、先生たちの実践に少しでも役立てばと思って紹介したのであり、事実、これを参考にしてみますというご意見を多くの現役の先生から頂きました。
また、長野県の元中学生さんからは、「私もいじめられていたけれど、この対策で救われました」というコメントもいただきました。



しかし、今回の大津の事件がこの対策で防げたか否かは不明です。
「いじめ」は、青少年時代に誰もが経験する軋轢から今回のような校内の凶悪犯罪までを総称しているので、万能の対策などあるはずがないのです。


ですから、対策の選択肢は多ければ多いほどよい。


先生に相談して解決するならばそれも良い。そのためには先生達は日頃から色んな実践を研究してスキルを磨いておく必要があるし、先生に相談してもダメなら自ら証拠を集めて警察に訴えるという手段もあった方がいい。

先生に相談したのがばれて、あるいは証拠集めに失敗して、いじめが酷くなるリスクを負うのが嫌であるなら転校だってできる制度にすべきだし、内藤朝雄氏が言うところの学級制度のない中学校というのを造るのも私は賛成です(私は内藤さんのように過激ではないので全ての学級制度を潰せとは主張しません。あくまで学級制度のない単位制中学も造ったらどうかと提案するだけですけど)。


あるいは、米国で流行しているような自宅学習も、保護者が責任をもって学力レベルを確保できるのであれば認めるべきだと思います。



青少年を一所に閉じ込めてベタベタとクラスメイトごっこをさせる現在の中等教育は、終身雇用年功序列という日本企業とは親和的だったかもしれません。
しかし、企業文化の方が多様化しているのに、何も学校だけが一様である必要はないのです。


「今通っている学校だけが居場所じゃない」

そんな当たり前のことを子ども達が実感できたならば、いじめを無くすことは出来なくても、いじめ自殺をゼロに近づけることは可能だと思うのです。