鳥越リスクを顕在化させてはならない

 文春砲の威力と本人の対応のまずさにより、鳥越俊太郎氏が都知事になる可能性は相当減ったと思われる。しかし、共産党という最強の固定票に支えられている上に、今回の報道について陰謀論を信じる層の積み増しもあるので、まだまだ当選可能性の高い有力候補である事には変わりはない。
そこで、鳥越氏が都知事になる事で生じる危険性=鳥越リスクを提示しておきたい。

 

1 東京が沖縄と並ぶ反日情報の発信基地になる。

 沖縄の翁長知事は国連に出かけて行って、日本政府の対応の酷さを訴えている。知事が政府に対して地元住民の要望をするのは当然だが、政府を飛び越えて国際社会に訴えるという手法は明らかに異常だ。このような異常手段が許されるのは、①独裁国家による人権弾圧状況が存在し民主的手続きの道がない ②少数民族への差別が存在し民主的手続きでは少数民族圧迫を是正できない といった特殊事情がある場合だけだ。
 日本人で沖縄県民を異民族と考える人はほとんどいないと思うが、翁長氏の行動は「我々沖縄県民は日本人に虐げられている少数民族である」と言っているに等しい。その翁長氏の行動に鳥越都知事が加われば、圧政を敷く日本民族の側からも良心派が現れたと映るだろう。
 これは日本を貶めたい人々が喝采するだけでなく、沖縄に領土的野望を抱くチャイナを利することになるだろう。鳥越都知事の誕生は東京都民だけでなく、沖縄県民にとっても不幸の種なのだ。

 

2 財政破綻の可能性が拡大する

 東京都は、安倍政権誕生以降の景気浮上によって、今のところ財政状況は順調である。しかし、東京都の財政は他の自治体に比較して法人関係の税に依存する率が高く、景気の良し悪しにより大きな影響を受ける。そのため、好景気の時にはなるべく基金(自治体の貯金みたいなもの)を設立し、不況期にそれを吐き出すという財政運営手法が不可欠である。
 ところが、その基金を好景気の現在、吐き出して福祉に回せというのが共産党の主張である。
 これまでは、共産党の主張など都の役人は一切聞く耳を持たなかったが、共産党に担がれた知事が誕生すれば、その要求に屈する可能性は少なくない。そのような財政運営をすれば、次の不況の波が来たときには東京都の財政は直ちに破綻するだろう。
 まだ高度成長期にあった美濃部都政(最後は与党は共産党だけ)ですら破綻しかけたのが、革新自治体の恐ろしさなのである。

 

3 特別秘書による独裁政治が行われる

 鳥越俊太郎氏に役人を使いこなせる力量があるとは思えないが、切れ者でかつ手法の荒っぽい人物を特別秘書に据えた場合、その人物による独裁政治が行われる危険性がゼロではない。
 事実、石原都政初期には石原氏の腹心の浜渦氏により、都庁は完全に牛耳られていた(ちなみに、それを是正するために動いたのが現在のドン=内田都議である)。石原都政の場合、一橋総研というブレーン機関があり、そこが提案する政策を実行するために抵抗勢力=都庁幹部を黙らせる必要があったが、鳥越氏が知事になったら推進される政策はおそらく福祉バラマキだろう。

 財政破綻への道のために都庁内に独裁がまかり通るとしたら、もはや喜劇である。

 


 これらの鳥越リスクは、今でも完全には消えていない。それが顕在化しないためには、都民の見識に期待するしかないのである。