それでも左翼は岩波から本を出すのか(その3)

社会学者の宮台真司氏が岩波のコネ入社をラジオで擁護していた。

宮台氏は左翼ではないが、格差問題については左翼と共闘しているようなので、彼がどのような理屈で擁護しているのかは興味深い。

要旨をまとめると

1 近年の若者たちの中には人間関係を築けない者が少なくない。
2 そういう人はどんなに勉強ができても仕事ができない。
3 企業は、そういう人を採用したくないが、ペーパー試験や短期間の面接で見抜くのは困難である。
4 だから人物保証ということでしっかりした人(岩波の社員や岩波から本を出している人)の推薦を要求した。
5 これは、競争のない業界の縁故採用とはまったく異なる。

なるほど個々の企業の採用方針としては、「あり」だということは判る。

いや、そんなことは宮台大先生に解説していただかなくても誰でも判っていることだ。

問題は、その方法論を多くの企業が採用した時に、もはや努力ですら格差を埋めにくい「超格差社会」が実現するのではないかという点である。
個々の企業の合理的行動が、社会全体を不合理な方向に向かわせることがないのかまで社会学者ならば分析すべではないか。



もちろん、「同一労働同一賃金」さえ実現できれば、正規雇用の採用方法がどれほど差別的でも格差問題は大幅に改善するだろうが、それこそ絵に描いた餅だ。
少なくとも日本の正規社員の給与は単純な労働に対する対価ではなく、人間関係も含めたグレーな会社一家の一員への手当てという側面があるからだ。


そんな田五作(宮台氏が日本人を卑しめるときに使う言葉)社会だからダメなんだ彼なら言うのだろうか。
橋下氏が「学者は勝手なことを言っていれば良いのだから気楽なものだ」と言い捨てた気持ちが少し判った。