私の仲間に「武士道」を道徳などの授業に取り入れようと研究している先生がいます。
今日から数回、このことの是非や今後の方向性について論じていこうと思います。
論点としては、
(1)そもそも武士道とは何か?
(2)武士道を公立学校で教えることは特定思想の押し付けにならないか?
(3)武士道による授業は「いじめ」などの病理現象解決に有効か?
などが考えられます。
武士道といえば、誰でも思いつくのが「新渡戸武士道」です。
しかし、新渡戸武士道と中世の武士たちが有していた倫理観はまったくことなるものであるという事実は、「武士道授業」を推進する側であれ、否定する側であれ認識しておく必要があるでしょう。
新渡戸武士道と中世武士道がまったく異なる倫理規範であることを、解き明かしたのは、菅野覚明氏の『武士道の逆襲』です。
次回は、本書をベースに「武士道」がどのように変遷してきたかを見ていこうと思います。
※ ちなみに菅野氏は「新渡戸武士道」と「中世武士道」は何の関係もない、とまで言い放ちますが、私は江戸武士道、軍人武士道、新渡戸武士道は思想の変遷だと捉えています。