いじめ防止条例を制定しよう その2

いじめ防止条例を制定するべきである、というと次のような反対意見を言う方がいます。

「条例を制定したからといって『いじめ』がなくなる訳ではない」
「昔からいじめはあった」
「いじめに負けない子どもを育てることが重要だ」

 そこで私なりに「いじめ防止条例」制定の意義をまとめて見ました。


1  現行の刑事法や教育関係法令に加えて、あえて「いじめ防止条例」を制定する意義

  「子どもを守る」

  言うまでもなくこれが最大の意義です。
  残念ながら教師の中にさえ「いじめなんて昔からあった」「いじめられる方にも問題がある」と言い放つ者がいます。
  条例の存在は、そんな教師・校長に対し措置要求の根拠になります。

  「先生を守る」

  学校にとって「いじめ」はあってほしくなものです。それゆえ積極的にいじめ問題に取り組む教育はともすれば「浮いた存在」になりかねません。条例制定はそんな先生を守る役目を果たします。


2 アメリカの「いじめ防止法」とは別に日本特有の視点

  「学校の隠蔽体質を改善する」

  アメリカには過半数の州に「いじめ防止法」が存在します。アメリカの場合このような法があれば、法に反していじめを放置した学校や校長は訴訟によって痛い目にあいます。
  ところが日本では、条例を制定しただけでは「絵に描いた餅」になりかねません。
  それを防ぐためには防止条例に罰則規定が必要でしょう。


3 「いじめ防止法」ではなく「いじめ防止条例」が大切な理由

  「日本の法律制定は極端にフットワークが悪い」

  日本の法律は「利権が絡まない限り迅速な制定は望めず」「省庁や内閣法制局による調整に膨大な時間を要する」という弱点があります。
  これに対して条例の制定は「青少年保護条例(淫行防止条例)」「路上たばこを禁じる条例」等の例を見れば明らかなように、法律に比較するとはるかにフットワークが軽いのです。


4 市町村条例ではなく都道府県条例を制定する意義

  「市町村立学校の教員の人事権は都道府県にある」

  兵庫県小野市が唯一「いじめ等防止条例」を有する自治体ですが、教員人事権を握る都道府県や政令指定都市が制定することで、この条例は一層効果的なものになるでしょう。