年収5000万円とも言われた吉本芸人の母が生活保護を貰っていたことで世の中が騒然としたのは2012年だった。早いもので、あれからもう4年がたちました。
マスコミが煽り、世論がバッシングと反バッシングに割れている時に真っ当な議論はできませんが、そのパワーで聖域に手をつけることができるのも事実です。
生活保護については、一人暮らし同士を比較した際に、最低賃金よりも生活保護の方が高いのは不当だという主張が強くなりました。
デフレだったのもあり保護基準を引き下げ、その後の人手不足で最低賃金もあがり、ようやく部分的に「最低賃金労働者」>「生活保護受給者」が達成できつつあります。
しかし、生活保護の問題はこれにつきる訳ではありません。
野党が極左政党ではなくリベラルだというなら、本当は社会が冷静になった今こそ、この手の問題を参議院選挙の争点にすべきです。
日本の生活保護に関する代表的な課題は以下のとおりです。
1 給付額が高い
日本よりも一人当GDPの高いヨーロッパ諸国でも単身者の生活保護費は月10万円程度です。自助努力の国アメリカに至っては家族単位で年間100万円にも満たないのです。ところが、東京では単身者でも13万円程度が受給可能で、そのうえ医療費と上下水道の基本料金が無料です。
2 捕捉率が低い
捕捉率とは生活保護以下の水準で暮らしている人のうち、何割が生活保護を受けているかを表す数字です。政府は概ね3割程度捕捉しているといっていますが、研究者の中でその数字を信じる人は多くはありません。仮に3割が正しいとしても、5割~9割と言われる欧米諸国に比較してあまりに低い数字です。
この段階でお気づきとは思いますが、1と2はパッケージです。ところが両方を主張する政治勢力はほとんどありません。
真っ当な野党なら、いつか政権を担当するつもりの野党ならば、双方の改善を主張すべきでしょう。
3 窓口による規制
1と2はなぜ両立するのか?
「日本人には他人様の迷惑になってはいけない」という誇りがあるから?それもあるかも知れません。しかし、1と2を両立させている最大要因は「水際作戦」と呼ばれる窓口規制です。
生活保護を申請に来た人を素直に申請させないで、「面倒を見てくれる親戚はいないのか」「働けないのか」「売れるものがあるんじゃないか」等々厳しく追求し、申請そのものをさせまいとするのです。
質問項目はどれも正しいのですが、本来ならば申請受理後、行政が調査すれば良いことばかりです。しかも、窓口対応ですからどうしても鬱陶しい相手には甘くなりがちです。いわゆる「在日特権」など法的権利としてはありませんが、こういうルールではなく窓口のマンパワーに頼る姿勢が「事実上の特権」を作ってしまうのです。
ですから、
「水際作戦を止めさせ」その分「申請後の調査権限を強化=プライバシー云々を言わせず、非協力や虚偽事実の申請があったら即却下」する姿勢が
必要なのですが、前者を主張する人が後者を主張するのを聞いたことがありません。
4 脱出へのインセンティブがない
厳しい窓口指導を潜り抜け申請できると、かなりの確率で無事に受給できるようになります。でも、人としての本当の戦いはここからではないでしょうか?
しかし現行制度は、受給者が再び社会に貢献し税金を払う側の人間になる気が起きないものになっています。
働いてお金を貰ってもその分受給額が減るので働き損です。
アメリカのように受給年限もないので「このままでいいや」と思い勝ちです。
使途に制限がないので、パチンコだけが楽しみの受給者も大勢います。
これらも、受給額を減らす代わりに一定額を超えるまでは労働で得た額の半額しか支給額を減らさない。
医師の診断がない限り保護は5年で打ち切る。
ギャンブルへの支出を禁止し、受給と引き換えに職業訓練を義務付ける。
等々他の先進国に習えば、様々な制度変更が可能です。
そういう真っ当な主張を投げかけることこそ野党の責任ではないでしょうか。
「可哀想な受給者をいじめる政府自民党」なんて言っても、もうバカな老人しか騙せませんよ。
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